メープル矯正歯科の山口です。
今日は上顎前突(出っ歯)について少し書いて見ようと思います。
上顎前突とは言葉の通り、上あごが前に出ている状態を指します。「出っ歯」という表現の方がなじみ深いと思いますが、実は単に上顎前歯が前に出ているだけとも限らないのが上顎前突です。
まずその原因から見てみましょう。
①舌癖による上顎前突 舌癖というのは、文字通り舌の癖のことです。舌が外に出ようとする力が強い場合、舌の力によって前歯が前に出てしまうということがあります。空き歯の方に多くみられるもので、歯と歯の間に舌が入り込もうとして、だんだんに歯を押し出していきます。
②指しゃぶりなどの習慣による上顎前突 舌癖のように一見弱い力でも歯は動いていきます。指しゃぶりが永久歯に生え替わるころまで続いている方など、比較的上顎前突になりやすいといわれています。指しゃぶりだけでなく、上顎前突の原因を探っていくと爪を噛む癖があったということもあります。
③骨格性による上顎前突 中には骨格性の上顎前突というものもあります。上あごが極端に大きい場合や、あるいは下あごが極端に小さい場合もあります。上下の顎の前後関係のずれにより上顎前突になっているという症例も中にはあります。
このように原因は様々です。そのうえでどういった弊害が起こり得るかを見てみましょう。
①見た目 矯正治療を受けたい理由として一番多いのではないでしょうか。子供の場合だと、これが原因でいじめにあってしまうという話もよく耳にします。
②怪我のリスク 二つ目が怪我のリスクです。スポーツをされている場合、唇を切ってしまうだけでなく、場合によっては歯が折れてしまうという報告もあります。
③虫歯や歯周病のリスク 上顎前突になると口を閉じることが難しくなります(下顎前突の場合も含む)。口唇閉鎖不全と呼びますが、口呼吸が習慣になってきます。口呼吸の場合、口腔内が常に渇いた状態になります。唾液には細菌の増殖を抑える働きがあり、乾燥した状態になるとその唾液による自浄効果が下がり、齲蝕(虫歯)や歯周病のリスクへとつながってきてしまいます。
④大臼歯への負担 前歯が噛み合っていない状態が続くと、食事の際に「噛み切る」機能を大臼歯(奥歯)で代用するようになります。大臼歯への負担が長く続くと歯がすり減ってきてしまったり、大臼歯で食べ物を噛み切ろうとして、本来の顎の動きではない動きを続けてしまい、顎関節に悪影響を与えることも出てきます。
3つ目と4つ目のデメリットはあまり知られていないかもしれませんが、とても大切なポイントになります。
ひとえに「出っ歯」といってもこの様に原因も弊害も様々です。今回書いたこと以外でも患者さんそれぞれの状態は全く違ってきますので、気になる方は一度矯正専門医に相談してみてください。
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